新卒で入社した人のうち、約3割が3年以内に会社を辞めています。これは特定の企業だけの傾向ではなく、厚生労働省の統計が示す全国的な傾向です。令和4年3月卒業者のデータでは、就職後3年以内の離職率は新規大卒就職者で33.8%、新規高卒就職者で37.9%でした※1。
本記事では、学歴別・事業所規模別・業界別の数値と長期の推移を、厚生労働省の統計にもとづいて解説します。あわせて、自社の離職率が高いか低いかを判断する見方も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
※1 出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」(2026年6月22日閲覧)
1. 新卒の3年以内離職率は「3割超」が続いている
新卒の3年以内離職率は、ここ数年「大卒で3割超、高卒で4割弱」の水準で推移しています。「新卒は3年で3割辞める」という通説は、現在のデータでも概ね当てはまります。
令和4年3月卒業者の学歴別データは次のとおりです※2。
| 学歴 | 3年以内離職率 | 前年度差 |
|---|---|---|
| 中学卒 | 54.1% | +3.6ポイント |
| 高校卒 | 37.9% | ▲0.5ポイント |
| 短大等卒 | 44.5% | ▲0.1ポイント |
| 大学卒 | 33.8% | ▲1.1ポイント |
※2 出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(2026年6月22日閲覧)
注目したいのは、学歴によって離職率が大きく異なる点です。大卒の33.8%に対し、中学卒は54.1%で、就職した人の半数以上が3年以内に離職しています。一般に語られる「新卒の離職率3割」は、大卒の水準に近いと理解しておくと混乱しません。
離職は入社1年目から3年目にかけて年々積み重なり、3年目までの累計としてこの水準に達するのが一般的な推移です。
このデータは、各年3月に卒業した新規学卒者のうち、就職後3年以内に離職した人の割合です。事業所からハローワークに提出された雇用保険の加入・離職記録をもとに、厚生労働省が推計しています※3。
2. 学歴が下がるほど離職率は高い
3年以内離職率は「中学卒>短大等卒>高校卒>大学卒」の順に高くなります。学歴が下がるほど離職率が上がる傾向は、厚生労働省の長期の時系列データでも一貫しています。
背景には複数の要因が考えられますが、データから断定できるのは「学歴区分ごとに離職率の水準が明確に異なる」という事実までです。自社の状況を見るときは、まずどの学歴区分の新卒が多いかを踏まえたうえで、事業所規模・業界の影響もあわせて考えると、実態に近い解釈ができます。
3. 新卒離職率の推移|「3年で3割」はいつからか
「新卒は3年で3割辞める」というのは、最近になって言われ始めたことではありません。大卒の3年以内離職率は、長期的に3割前後で推移してきました。
直近の新規大卒就職者の3年以内離職率の推移は次のとおりです※4。
| 卒業年(3月卒) | 大卒3年以内離職率 |
|---|---|
| 平成31年3月卒(2019年) | 31.5% |
| 令和2年3月卒(2020年) | 32.3% |
| 令和3年3月卒(2021年) | 34.9% |
| 令和4年3月卒(2022年) | 33.8% |
3年以内での離職率は、令和3年3月卒で34.9%まで上昇したあと、令和4年3月卒では33.8%へ1.1ポイント低下しました。いずれの年も3割を超えており、「3年で3割」という水準そのものは長く続いています。短期的な上下はありますが、ここ数年で急に悪化したとはいえません。
※4 出典:厚生労働省「新規学卒就職者の学歴別就職後3年以内離職率の推移(令和4年3月卒業者・別紙1)」(2026年7月28日閲覧)
4. 事業所規模が小さいほど離職率は高い
新卒の離職率は、勤務先の規模によって大きく変わります。これは中堅・中小企業の人事にとってとくに重要な視点です。
令和4年3月卒業者の、事業所規模別の3年以内離職率は次のとおりです※3。
| 事業所規模 | 高校卒 | 大学卒 |
|---|---|---|
| 1,000人以上 | 26.3% | 27.0% |
| 500〜999人 | 29.9% | 31.5% |
| 100〜499人 | 36.7% | 33.9% |
| 30〜99人 | 45.2% | 41.9% |
| 5〜29人 | 54.6% | 52.0% |
| 5人未満 | 63.2% | 57.5% |
※3 出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(2026年6月22日閲覧)
大卒で見ると、1,000人以上の事業所が27.0%であるのに対し、5〜29人規模の事業所では52.0%と、約2倍の開きがあります。30〜99人規模の事業所でも41.9%に達します。
つまり、「新卒の3年以内離職率は約3割」という全国平均を、そのまま自社に当てはめるのは危険です。中小企業の多くは、平均より高い離職率になりやすい事業所規模に該当します。
ただし、この統計は事業所単位の集計であり、企業(会社)規模とは一致しない場合があります。自社の離職率を全国平均と比べるときは、同じ規模帯の数値と照らし合わせましょう。
5. 業界(産業)別の離職率|サービス業で高い傾向
離職率は業界によっても差があります。令和4年3月卒業者のうち、3年以内離職率が高い上位5産業は次のとおりです※5。
| 順位 | 高校卒 | 大学卒 |
|---|---|---|
| 1 | 宿泊業,飲食サービス業 64.7% | 宿泊業,飲食サービス業 55.4% |
| 2 | 生活関連サービス業,娯楽業 61.5% | 生活関連サービス業,娯楽業 54.7% |
| 3 | 教育,学習支援業 53.6% | 教育,学習支援業 44.2% |
| 4 | 医療,福祉 49.2% | 医療,福祉 40.8% |
| 5 | 小売業 48.3% | 小売業 40.4% |
※5 出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(「その他」を除く上位5産業、2026年6月22日閲覧)
大卒では、宿泊業・飲食サービス業が55.4%で最も高く、全体平均の33.8%を大きく上回ります。生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業がこれに続きます。対面接客や生活者向けサービスを担う業界で、離職率が高くなりやすい傾向です。
ここでの数値は、新規学卒者に限った業界別の離職率です。全産業・全労働者を対象にした業界別の離職率ランキングは、業界別データをまとめた記事で比較できます。
6. 「新卒の離職率」と「会社全体の離職率」は別物
ここまでの数値は、あくまで「新卒(新規学卒就職者)」に限った3年以内離職率です。会社全体の年間離職率とは計算の前提が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
参考として、全産業の年間離職率(年初〈1月1日時点〉の常用労働者数に対する1年間の離職者の割合。常用労働者5人以上の事業所が対象)は、令和7年で13.7%でした※6。
両者の違いを整理すると次のとおりです。
| 指標 | 対象 | 期間 | 主な出典 |
|---|---|---|---|
| 新卒3年以内離職率 | その年に就職した新卒者 | 入社後3年間の累計 | 新規学卒就職者の離職状況 |
| 年間離職率 | 年初(1月1日時点)の常用労働者(新卒以外も含む。常用労働者5人以上の事業所が対象) | 1年間 | 雇用動向調査 |
新卒3年以内離職率は「3年間の累計」であるのに対し、年間離職率は「1年間」を切り取った数字です。期間も対象も異なるため、「新卒は3割、全体は14%だから新卒のほうが2倍辞めやすい」と単純比較することはできません。自社の数値を語るときは、どちらの指標を使っているかをそろえましょう。
※6 出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」(2026年9月26日閲覧)
7. 新卒の離職率データをどう自社に活かすか
新卒の離職率データは、自社の状況を客観的に位置づける物差しとして使うのが基本です。次の3ステップで考えると、データを活かしやすくなるでしょう。
- 自社の新卒離職率を正しく計算する:分母(入社した新卒数)と分子(3年以内に離職した数)をそろえて算出する(計算方法は「離職率の計算方法とは|計算式・平均値を厚労省データで解説」を参照)
- 適切な平均値と比較する:全国平均でなく、自社と同じ事業所規模・業界の数値と比べる
- 差の要因を分析し、施策につなげる:平均より離職率が高い場合は、原因を特定したうえで防止策を講じる
なぜ離職率が高くなるのかという原因の分析は、以下の記事で紹介しています。
また、原因を踏まえた具体的な防止施策や、入社初期のオンボーディングの設計については、施策編の記事が参考になります。
8. 新卒の離職率に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、新卒の離職率についてのよくある質問に回答します。
A. 令和4年3月卒業者では、新規大卒就職者が33.8%、新規高卒就職者が37.9%でした※7。「新卒は3年で3割辞める」という通説は、大卒の水準では概ね当てはまります。
A. 厚生労働省が、新規学卒就職者の定着状況を把握する指標として、就職後3年以内の離職率を継続的に公表しているためです。入社から3年は新卒が職場に定着するかどうかの節目とみなされることが多く、各種の比較・分析で広く用いられています。
A. 事業所規模が小さいほど高くなる傾向があります。令和4年3月卒の大卒では、1,000人以上の事業所が27.0%であるのに対し、5〜29人規模の事業所では52.0%でした※8。自社の数値は、全国平均でなく同じ規模帯の数値と比較するのがおすすめです。
A. 令和4年3月卒の大卒では、宿泊業・飲食サービス業(55.4%)、生活関連サービス業・娯楽業(54.7%)、教育・学習支援業(44.2%)の順で高くなっています※8(「その他」を除く上位5産業)。対面サービスを担う業界で高い傾向があります。
A. まず自社の離職率を正しく計算し、同規模・同業界の平均と比較します。そのうえで、離職の原因分析と防止施策の検討に進むのが基本的な流れです。原因を特定せずに施策だけを増やすと、効果が出にくくなります。
※7 出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」(2026年6月22日閲覧)
※8 出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(「その他」を除く上位5産業、2026年6月22日閲覧)
まとめ:同じ規模・業界の平均と比べて判断する
新卒の3年以内離職率は、令和4年3月卒業者で大卒33.8%・高卒37.9%であり、「3年で約3割」という水準が続いています※9。ただしこの数字は全国平均であり、事業所規模が小さいほど、また宿泊業・飲食サービス業などの業界では大きく高くなります。
※9 出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」(2026年6月22日閲覧)
自社の状況を正しくとらえるには、(1)自社の離職率を正確に計算し、(2)同じ規模・業界の平均と比較し、(3)差の要因を分析して施策につなげる、という順序が有効です。まずは自社の新卒離職率を確認するところから始めましょう。




